阿波の古墳には、横穴式石室の玄室平面部を隅丸長方形に築く、「忌部山型石室」と呼ばれる構造をもつものがあります。吉野川市の忌部山に多く築かれているためにそう呼ばれています。峯八古墳群もその一つだと思われます。
眺望絶景!
峯八山古墳のある峯八山からの眺望は絶景です。吉野川の中洲である善入寺島全体がはっきりと見て取れます。東は大麻山、西は脇町まで見えます。
善入寺島は、川の中の島としては、日本最大だそうで約500haの広さがあります。古くは「粟島」と呼ばれていたそうで、阿波忌部氏が粟を植えたと伝えられています。
峯八山から麓まで、かつては約13基の古墳があったと言われています。
ちゃぼたつ
古墳は標高130m~180mの位置にあります。おそらく、この眺望を意識して築造されたに違いないと思います。
峯八古墳とは?
ちゃぼたつ
峯八山古墳へ向かうには、吉野川リサイクルセンター方面を目指します。そこから道幅の狭い山道を「これであっているのだろうか?」と不安になりつつも、ひたすら西へ西へと向かうと、突如、道端に案内板が現れます。これを見逃すと、峯八古墳とは出会えません。
3世紀から6世紀にかけて大和地方の豪族が巨大な墳墓を作った。各地方もこれをまねて多くの墳墓が作られた。峯八には二か所に横穴式古墳の形骸が残っている。峯八から麓の尾根には十三塚といわれていた古墳はすでにことごとく掘り崩されて耕地となり、その面影は消失している。
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どこが立てた説明板かはわかりませんが、ざっくりとした説明です。案内板の周りには古墳らしきものは見当たりません。よく見ると、案内板の後ろに細いけもの道が奥へと延びています。おそるおそる入ってみました。
しばらく行くと、2枚の緑色片岩が地面に刺さっているのを見つけました。
形状からして、横穴式石室の袖石のようにも見えます。似たような立石を同じ吉野川市の西宮古墳で見たころがあります。案内板に書かれていた横穴式石室の形跡がこれだと思われます。辺りをうろうろしてみましたが、これ以外にそれらしきものは見つけられませんでした。
まとめ
峯八山古墳は、横穴式石室の石材がわずかに残っているのみですが、おそらく忌部山型の石室構造をしていたものと推察されます。峯八山から阿波忌部氏ゆかりの善入寺島や大麻山も見渡せます。
天気の良い日に訪れてみるのもよいかと思います。