【古墳を行く!】絶景かな!絶景かな!古墳の墳丘上からの眺め第1位!「森将軍塚古墳」(長野県)  

全国古墳探訪

一度はこの目で見てみたいと思っていた森将軍塚古墳を訪ねて長野県まで行ってきました。

森将軍塚古墳は、長野平野を流れる千曲川の上流、千曲市にあります。まずは、情報収集のために、千曲市森将軍塚古墳館を目指します。

古墳館の見どころは、長さ7.6m、幅2m、高さ2.3mの巨大な竪穴式石室の実寸大復元模型です。以前に、33面の三角縁神獣鏡が出土したことで有名な奈良県天理市の黒塚古墳の展示館で、長さ8.3m、幅0.9m〜1.3m、高さ1.7mの竪穴式石室の実寸大復元模型を見たことがありますが、それに匹敵、いやそれ以上の迫力があります。

本物の石室は、古墳の内部に保存されているそうです。

竪穴式石室には、西日本でよくみられる割竹形木棺ではなく、組み合わせ式の箱形木棺が納められていたと考えられています。竪穴式石室からは、長野県で唯一の三額縁神獣鏡が1面出土しました。

古墳館を堪能してから、いよいよ森将軍塚古墳へと向かいます。古墳館からは見学バス(200円)が出ていました。しかし、尾根上を見上げると、森将軍塚古墳の後円部らしき姿が見え、それほどの距離でもなさそうなので歩いて登ることにしました。

古墳館の隣には、長野県立歴史館が建っており、「科野(しなの)の里歴史公園」として整備されています。

森将軍塚古墳までは遊歩道が整備されており、歴史館建設の際に発見された屋代清水遺跡の古墳時代中期のムラが再現されています。

古墳までは徒歩約20分となっていましたが、思いのほか傾斜が急でへとへとになりました。途中で、見学バスが追い越していき、心が折れそうになりました。しかし、その分、森将軍塚古墳が見えたときは、絶景もあいまって、感動はさらに大きくなりました。

各地の古墳を見てきましたが、美しい古墳の姿、墳丘上からの眺めは、屈指の絶景です。どこへ行っても古墳公園は閑散としているものですが、大勢の観光客が来ているのも納得です。

後円部は正円に見えますが、森将軍塚古墳の後円部は正円ではなく楕円形をしています。地形の制約を受けて、いびつな形をしているのです。それにもかかわらず、後円部か正円に見えるのは、後円部の裾に「貼石帯」という三日月状に石を敷き詰めた部分を設けているからです。

築造年代は4世紀中頃・・・。当時の技術力に驚かされます。

森将軍塚古墳の全長は約100m。長野県最大の前方後円墳です。畿内では100m級の前方後円墳はざらにありますが、様々な工夫を施して100mという規模の前方後円墳という形状にこだわって作り上げられたことがありありと感じられます。

形状に無理やり感はありますが、古墳の被葬者は、その地位からか規模を小さくするわけにはいかなかったという意図が強く感じられます。同時の古墳築造のルールが垣間見てとれます。

墳丘上に並べられた埴輪列も様々な形状があり、これを見ているだけでも飽きません。

古墳館に復元されていた長大な竪穴式石室は後円部にありました。埋め戻したあとがブロックで囲まれています。

前方部は、後円部と同様に、千曲川から運び上げられた玉砂利が敷き詰められ、築造当時は、祭礼儀式の場所として使用されていたと考えられています。後には、竪穴式石室2基をはじめ、組合式箱式石棺や埴輪棺が設けられています。

墳丘の周りにも埴輪棺や箱式石棺がありました。

後円部と前方部のくびれ部付近にある3号墳は、6世紀後半に造られた横穴式石室をもつ小円墳です。

森将軍塚古墳の築造が4世紀中頃ですから、それから200年以上たって小円墳が築かれたことになります。巨大な前方後円墳と小円墳。200年の間に何があったのか妄想がふくらみます。

森将軍塚古墳の後円部の先端から少し歩いたところにも小円墳がありました。

こちらは、2号墳と呼ばれ、森将軍塚古墳の周りの小円墳としては最大のものです。5世紀の築造と考えられています。箱式石棺には男女2体が埋葬されていました。

これらの円墳群は、森将軍塚古墳の被葬者を祖先と仰ぐ人々によって築かれたと考えられています。

周辺案内図を見ていると、森将軍塚古墳の近くに有明山将軍塚古墳というのが記されていたので、そちらにも行ってみることにしました。

有明山将軍塚古墳は、森将軍塚古墳より高いところにあります。向かう途中、眼下には、森将軍塚古墳が見えます。

有明山将軍塚古墳は、森将軍塚古墳より50年から100年後の4世紀末か5世紀初めに造られたと考えられています。全長37mの前方後円墳です。墳丘には葺石が施されていましたが、埴輪列はありませんでした。被葬者が誰かはわかりませんが、森将軍塚古墳の被葬者の2代から3代後の後継者と思われます。

森将軍塚古墳。遠路はるばるやってきた甲斐がありました。余りの美しさに、山を下りるときも何度も振り返りました。

最後に、長野県立歴史館に立ち寄りました。長野県内で出土した縄文土器が数多く展示されていました。縄文土器は約5000年前とは思えないほど斬新なデザインで、見れば見るほど吸い込まれていくような感覚になります。弥生時代以前に、東日本に高度な技術をもつ集団が存在していたことを示す確かな証拠に触れることができました。

ということで、一度は見たかった森将軍塚古墳に行ってきました。ええもん見た~って感じです。大満足!

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