今回、訪れた神社は、阿南市桑野町にある「羽落神社」です。
妙な名前の神社ですが、神様の勢いが強くその上を鳥が飛ぶと羽を落とすという伝説があるとかないとか・・・。では、さっそく行ってみましょう。
道路沿いに、羽落神社こっち!みたいなの標識があったので、そこから入ってみました。

入ってすぐに鳥居があり、奥に社伝へと続くであろう急な石段が見えます。

今回は、あっという間に神社へ到着と思いきや石段を登り切った先には小さな社殿が・・・。

なんか思っていたのと違う・・・
祠の中にある古い扁額らしきものが・・・

杉尾・羽落神社?
「徳島県神社誌」を見ると、羽落神社の飛地境内社に杉尾神社があると書かれていたので、どうやらこの神社は、それのようです。
それじゃあ羽落神社はどこだ?
もう一度よくマップを調べてみると、杉尾神社のある山の頂上付近に羽落神社があるようです。
しかも、車で行けるような道はありません。
杉尾神社近くに登山道のような道はありますが、駐車スペースがありません。
路上駐車をしてどのくらいの時間がかかるかわからない山道を歩くわけにもいかないので、他に山に登る道はないかマップで探していると、杉尾神社と反対側の山裾に、運動公園があり、そこから車をとめて、歩いて登れそうなことをみつけました。

初めて来ましたが、かなり立派な運動公園です。競技場と野球場の間から山に登れそうです。

山道を登り始めて10分ほどで、案内標識が見えてきました。

出雲大社?
気になりますが、とりあえず、羽落神社を目指します。
案内標識から数分で羽落神社の社殿に着きました。
立派な社殿です。

羽落神社
祭神 天牟良雲命
創立年代不詳。阿波国の開拓祖神として御功績顕著なるに依り、古くより鳥取大権現と尊び参り、寿命守護神悪魔除の神様と信仰四方に聚め御神徳御霊験は厚く、県内は勿論県外より参客あり。燈明千番を献り日夜絶えない。「寛保帳」に「桑野村 帳取権現 別当桑野村万福寺」と。また、「阿波志」に「蝶鳥杉尾二祠浦内に在り」とある。飛地境内社に杉尾神社(西谷65番地)がある。特殊神事の悪魔払の獅子舞は、当社独特獅子舞にして御輿渡御をなし御旅所にて獅子舞の奉納があり。参客は、悪魔払いの獅子舞が終われば、張り廻らす周囲の注連縄を切り取り持ち帰り家門に張り、悪魔払いとする信仰あり。また、唐子の舞も珍しく貴重なものなり。獅子舞は阿南市無形文化財に指定されている。
神社由緒から、羽落神社は、かつて、「ちょうとり」(鳥取、帳取、蝶鳥)と呼ばれていたことがわかります。
羽落神社がある山を鳥取山と呼ぶようです。
飛ぶ鳥が羽を落とすという伝説もその名からきているのかもしれません。
羽落神社は、天牟良雲命を祭神としています。
天牟良雲命についてはこちら!

神社由緒に、「阿波国の開拓祖神として御功績顕著なるに依り」と書かれているところ見れば、やはり、阿波忌部氏との関りで、この地に天牟良雲命が祀られたのかもしれません。
また、鳥取山、鳥取大権現という名から連想されるのが鳥取氏です。
日本書紀には鳥取氏について次のように記されています。
第11代垂仁天皇の誉津別皇子は大人になっても言葉を発することができなかったが、ある時、鵠をみて言葉を発した。命によりその鵠を出雲で捕らえたのが天湯河板挙で、垂仁天皇から鳥取部の姓を賜った。
鳥取部は、鳥を取る部民で、それを率いたのが鳥取氏ですから、「飛ぶ鳥も落とす」という羽落神社の伝説にぴったりです。
この地域にかつて鳥取部が居住していたことにより、鳥取山の地名が付いたのかもしれません。(あくまで妄想です。)
しかし、それならば、羽落神社の祭神は、鳥取氏の祖神の天湯河板挙となるはずです。
一方で、羽落神社の由緒にあるように、「阿波の開拓祖神」を祀っているとすれば、天湯河板挙は少し違うような気がします。
いろんな系譜を探ってみると、面白いことがわかります。
角凝魂命の三世孫が天湯河板挙命
角凝魂命の五世孫が天日鷲翔矢命
角凝魂命の五世孫が天牟羅雲命
天日鷲命は阿波忌部氏の祖神とされ、まさに、阿波の開拓神です。
羽落神社に関する神として登場する天牟羅雲命、天湯河板挙命、天日鷲翔矢命の三人はすべて角凝魂命の子孫となってます。
無理やりつなげた感はありますが、それなりにつながってしまうのが阿波古代史の面白いところです。
羽落神社からの帰りに、途中の分かれ道にあった出雲神社に寄ってみることにしました。


平成26年に鳥居や社殿が新しくなったようです。大切に祀られていることがわかります。
祭神は、どこにも書かれていませんが、出雲大社ということですから、大国主命でしょう。
なぜここに出雲大社があるのか不明ですが、そういえば、天湯河板挙命が鵠を捕まえたのが出雲でした。関係ないか・・・?

出雲大社の奥へと下っていく道があるので、どうやら、この道を行くと、反対側の杉尾神社の方へ行きそうです。
余談ですが、阿波には杉尾神社と称する神社が49社もあって、そのうちの19社で大己貴命を祀っています。


大己貴命の別名は大国主命で、阿波国が粟国と長国に分かれていたころの長国の開拓神とされていますから、これまた何か関係があるのかもしれません。

